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  • 吉井 由美子

ベリーズのパートナーのネルソンが亡くなりました。

中米ベリーズのパートナーのネルソンが亡くなりました。

知らせを受けたのは6月中旬。

当日昼過ぎになっても起きてこないことを心配した工房のリーダーのベンさんが彼の部屋に行くと、すでにベッドの上で亡くなっていたそうです。日本のように検死が進んでいないベリーズのため死因は不明です。私は、亡くなったその日の夜、ネルソンのお姉さんから電話があり知らせを受けました。お姉さんは数日前に一緒にランチをしたそうですが、ネルソンはいつもと変わりはなかったそうです。

ネルソンはベリーズの工房とBASEYを繋ぐ大切な役割を担っていました。60歳を超えたリーダーのベンさんはインターネットが苦手で、ネルソンがいつも日本との連絡係になっていました。

以前、電話で私が「How are you ?」と聞いても私に「And you?」とは聞いてくれないネルソンに、私にも聞いて!と言ってからいつも「And you ?」と聞いてくれるようになりました。口数は少なくても優しいネルソンでした。

彼が20歳のお誕生日に「ハッピーバースデー」の電話をした時に、「何をくれるの?」と聞かれたことがあります。

その少し前に、それまでは日本への発送や品質チェックを担っていた中間者に代金の一部が支払われていて、全てベンさんたちで行う直営によって収入アップを図る調整にベリーズに行きました。

その時に、リーダーのベンさんに「お金がないんだ、少しでいいからお金をください」と言われた時に、「今後は私たちと直接仕事をすることで今までの2倍ベンさんたちにお金が支払われることになる。二度とgive me moneyと人にモノやお金を乞わなくて良いように、仕事をがんばろう。」と伝えたことがあります。

ベリーズ訪問のすぐあとの電話で、私は誕生日ギフトが欲しいと言ったネルソンに「私は仕事しか作れない。物やお金はあげられない。仕事をしっかりとしてお金を稼いで、自分で好きなものを買えばよい」と伝えました。ネルソンは「OK」と言ってそれ以上、またそれ以降は、私にモノやお金をお願いすることは一切ありませんでした。

今思えば、あの時20歳になったネルソンに「おめでとう、ギフトは何が良い?」と聞いてあげればよかったな、と。また20歳のネルソンは何が欲しかったんだろう、と思っては涙が出てきます。

少しずつ自分の状態をキープできるスピードで、この悲しい感情の扉を開け閉めしながら彼のことを、そして、途上国における貧困緩和を目標にしつつも、未だ豊かな暮らしに至っていないパートナーに対する自分自身の力不足を受け止め、何ができるかを考え抜き、動いていきたいと思います。

たくさんの方にお選びいただいているベリーズ商品ですが、現在はベンさんが1人で貝の研磨をしていることや、貝の解禁時期等の関係で、今後のお取扱いの状況が不透明です。ベリーズを訪れた時に、リスクヘッジを考え他の貝の研磨職人たちを訪問しましたが一緒に仕事をしたいと思えず、信頼できるベンさんとネルソンとのみ商品を制作してきました。

ネルソンの悲報について、6月に開催したBASEY期間限定ショップ@タカシマヤ前にご報告をと思いましたが、私の心がお伝えできる状況になかったこと、そして、楽しみにお待ちいただいていたお客様にはいつも通りにゆっくりと商品をお選びいただきたい、という想いから、ご報告が今に至りました。

今後のベリーズ商品のお取扱いについては、7月のBASEY期間限定ショップ@大阪大丸梅田と8月の阪急梅田店については、商品の確保はできていますが、それ以降については見通しがつきましたら改めてご報告いたします。

クルクルドレッドのネルソン。「I am fine, and you?」という声が聞けなくて本当に寂しいです。日を追うごとに寂しさが増していきます。

すでにベリーズ商品をお持ちのお客様には、引き続きネルソンが研磨した貝を通して、ネルソンの丁寧な手仕事を改めて感じていただければ幸いです。

そして、いつかベリーズ商品を、と思っていただいていた方たちには不透明な今後で申し訳ありませんが、機会があればぜひ手に取りカリブ海で育った貝の美しさを感じていただければ、ネルソンも私たちも嬉しく思います。

ネルソン、Rest in Peace. ありがとう。

BASEY代表

吉井 由美子

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